はじめに
VTuberプロダクションを運営する「カバー株式会社」。
2023年3月27日に東京証券取引所グロース市場に上場したので、決算書を読んでみました。ざっくりと図解と考察を書きます。（コード番号：5253）
企業概要
カバー株式会社は、「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を企業ミッションとし、日本発のエン ターテインメント・カルチャーを作り出していくことを目的としています。
アニメ、ゲームといった文化に関わるクリエイターの活動の場を増やしていくことを目指して事業を展開しています。
事業内容
カバー株式会社の主軸となるのは「VTuber」です。
いわゆる “バーチャル・アイドル” ですね。
【３つの事業】
1, VTuberプロダクション運営
2, メディアミックス
3, メタバース
上記は、公式サイトより。
ただ、少しわかりにくいと思いますので、マネタイズのポイントを以下に挙げてみました。
【展開事業】
・ライブ配信課金
・Youtube広告収入
・イベントチケット
・曲の配信
・グッズ物販
・キャラのCM出演
・ライセンス、コラボ
前置きが長くなりました。
以下に決算書をまとめて考察してみます。
決算書の図解
貸借対照表（BS）
負債 4,781百万円
純資産 3,457百万円
自己資本比率は42%と安定経営ですね。
自己資本比率とは、株主から集めたお金のことで、返済義務がありません。
また、流動比率も151%と安心です。 （以下図）
流動資産とは「短期間（１年以内）に現金化が見込まれる資産」であり、流動負債とは「短期間（１年以内）に支払い義務のある負債」のことです。
デッドラインは100%、理想は200%と言われており、150%ならまずまずといえるのではないでしょうか。仮に、100%を下回ると資金繰りが危ういということになります。
損益計算書（PL）
売上高 12,802百万円
売上原価 7,059百万円
売上総利益（粗利益） 5,743百万円
販管費（※1） 4,009百万円
営業利益 1,735百万円
営業外損益 7百万円
経常利益 1,728百万円
特別損益 3百万円
調整前当期純利益（※2）1,725百万円
法人税等 444百万円
当期純利益 1,281百万円
※1：販売費及び一般管理費 ※2：税金等調整前当期純利益
粗利益率は44.9%となっています。
以外と原価がかかるんだなあという印象ですが、制作費がかかるのでしょうか？
あるいはVTuberへの演者配分が手厚いのかもしれませんね。
なお、カバー社は2023 年３月期の業績は、売上高 18,056 百万円を見込んでおり、前期比 32.1％増となります。売上のばしてきていますね。
補足：その他の指標（ROA, ROE）
ROA（総資産利益率） １５．５％
ROE（自己資本利益率） ３７．１％
効率的に利益を出す経営をしているといえますね。
カバー株式会社についての補足
事業計画
カバー株式会社は自社の事業を、事業計画では大きく４つに分類しています。
1, 配信／コンテンツ 売上構成比：38.4%
2, ライブ／イベント 売上構成比：16.1%
3, マーチャンダイジング（グッズ販売） 売上構成比：35.3%
4, ライセンス／タイアップ 売上構成比：10.0%
今後はメタバース事業にも注力し、2024年には一般サービスを開始予定とのことです。アニメ関連市場でみると、国内1.4兆円・グローバル2.7兆円なのですが、ゲーム市場でみるとグローバルで21.9兆円の市場規模があるそうです。
従来のアニメや芸能での事業展開と大きく変わりそうですね。
すでに英語圏とインドネシアには進出しており、在籍VTuberYouTubeの再生回数は海外が半分近くに迫る勢いです。
【VTuber】とは？
アニメやゲームのキャラクター等とは違い、実際の人が演じているバーチャルキャラクターであることが特徴です。
アニメルック・アバターをモーションキャプチャー技術（※）で動かしています。
※カメラ等で人の動きをとらえ、デジタル化する技術
カバー社所属のVTuberは75名。
内、32名は YouTube のチャンネル登録者数が 100 万登録を超えており、YouTube チャンネル登録総数は延べ 7,400 万登録にもなります。
さらなる事業展開と世界展開に目が離せません！
参考情報
カバー株式会社 公式サイト
カバー株式会社 IR情報（公式）
カバー株式会社 事業展開に関する資料（公式）
カバー株式会社 採用ページ（公式）
カバー株式会社 株価情報（日経新聞）
カバー株式会社 プレスリリース（PR TIMES）
※当ブログは、株式売買の勧誘や推奨等を目的としたものではありません。
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